こんにちは

吉本歯科医院のカウンセラー森下です。

今日は、当院のインプラントの症例をご紹介します。

 

骨の幅と高さがない場所にインプラントを埋入した症例です。

 

インプラントを入れる時にもっとも重要なのが「骨」です。

 

「厚みと骨の高さ」これが充分だとインプラント手術は簡単です。高さとは骨と神経血管までの距離とお考え下さい。距離が近いほどインプラント手術時に神経血管を傷つけやすいのです。

 

つまり骨の高さがなく幅が薄い場合はインプラントの埋入が厳しいということがあります。

 

インプラントを希望する患者様の中には、一般的な歯科医院での通常の手術では対応できないケースが増加しているように思います。

 

吉本歯科医院には他の医院さんで「骨がないからインプラントはできないと言われた」という患者さんが多くいらっしゃいます。

 

患者さんの中には、インプラント手術はどこの歯科医院でも同じ、と思っている方が本当に多いんだなとお話をさせて頂き感じています。

 

さて、骨がないとなぜインプラント手術が大変なのでしょうか。

 

ご説明させて頂きますね。

 

例えば縦・横・高さに十分な厚みのある太い板に釘を打つと、どうでしょう?

すんなり釘は入っていきますね。

 

でも細く厚みのない板に釘を打つと、どうなります?

釘は折れないが、板が割れますよね。

 

インプラント手術でいうと、インプラントを入れる「骨」は「板」で、インプラントは「釘」です。

 

薄い骨にインプラントを無理やり入れると骨は割れてしまいます。術中に自家骨が割れたら、人工骨を入れます。

しかし人工骨は作られた骨です。

自分の骨のように強く硬くはありません。

 

そこで薄い骨にでもインプラントを入れるという手法が「リッジエキスパンド」です。

 

リッジとは、狭窄。

エキスパンドとは、広げるという意味です。

 

つまり「細い骨を広げてインプラントを埋入する」ということです。

 

ただこの手術は非常に難しくインプラントをしているドクターなら誰でもできるということではありません。

 

高い技術力を持ったドクターでないと手術は成功しないと思われます。

 

 

下の写真をご覧下さい。(写真①)


P4201260.JPG 

 

この写真は、先日当院でのインプラント治療を行った50代女性の口腔内写真です。左の黄色い部分で囲っている部分が骨ですが、骨の幅は十分にあります。

 

 

次の写真をご覧下さい。(写真②)


 
PC260029のコピー.jpg 

 

同じく当院でインプラント手術をされた50代女性の口腔内写真です。

3本の歯を失い、その部分をインプラント埋入された患者さまです。

右側の黄色く囲っている部分が骨です。

先ほどの写真①の方に比べると骨幅が半分以下の厚みしかありません。

 

 

骨の幅に十分に厚みがある方のインプラント手術は、それほど困難ではないはずです。つまり6ミリの木の棒に4ミリの釘を入れることは可能です。

しかし、このように骨が非常に薄く、骨量が少ない方の手術は、いわゆる「難症例」といい

執刀するドクターの技術(いわゆる腕)の高さによって成功するかどうかが決定します。つまり2ミリの木の棒に4ミリの釘を入れることは単純に考えれば棒が折れるので、不可能ということです。

 

こういった難症例の不可能を可能にするインプラント手術をどれだけ経験しているかで、

ドクターの腕は上がり、さまざまなケースに対応できる技を身につけていくのだと思います。

インプラント手術はどこも同じというわけではない、という意味はこのあたりにあります。

 

さて、では、このような骨が非常に薄く幅も少なく、骨の高さもない、という患者さまに対して当院の院長はどのようなインプラント手術を行っていくのか、ご説明してまいりましょう。今回は直径4ミリ、長さ8.5ミリというとても短いインプラントを使用しました。インプラント手術後にレントゲンを撮影して神経ギリギリに入っているのが確認できています。1ミリの骨も無駄に削ることはできません。削ったのは、最初の溝部分だけでした。骨を削らず(ドリリングせず)にインプラントを埋入する治療法です。

 

 

①骨と骨を押し拡げるための起始溝を形成します。


P9190057.JPG 

 

この写真は歯ぐきを開いて骨が見えているところです。

 

骨に縦に亀裂のようにみえるのが形成したところです。

 

円盤のような形をしている「ダイヤモンドディスク」という器具を使用します。

 

これはピザを切るときに使う道具に形が似ています。

骨はピザのように柔らかくはないのでエンジンを使用して切るのでスピードがあります。

 

数ミリでもずれたら骨が割れてしまいますので相当の技術を要します。

 

 

 

②手で骨を押しひろげているところ

P9190060.JPG

この写真は骨を圧し拡げる器具を入れているところです。

 

細いサイズから順番に使用していきます。

 

合計6本の大きさがあります。

 

非常に細かく時間のかかる作業です。慎重に慎重にゆっくりやらないと骨が折れてしまいます。

 

形は日曜大工などで使うネジに似ています。

 

サイズを順番に使っていき徐々に骨を圧縮しながら押しひろげインプラントが埋入できる緻密な骨を形成します。

 

 

③いよいよインプラント埋入



P9190077.JPG 

 

 薄い骨を割ることなく埋入できましたので人工骨を入れることもなく自分の固い骨がインプラントの周りにある状態で初期固定が安定したインプラントの埋入ができました。

 

初期固定とは、インプラントを埋入した時、インプラントをねじっても回らない状態のことです。細かった溝が拡がっているのが確認できます。

 

 

 

以前は、このような骨が薄い場合の手術では「骨ノミとマレット」という器具を使用していました。

 

「ノミとトンカチ」のイメージです。

 

口腔内は頭に近いので「ゴンゴンゴン」とかなり頭に響く感じがします。

 

痛くなくても、その響く音に患者さんはびっくりしますし不快な感じをもちます。

 

なるべく患者さんに不快な思いをさせない、尚且つ、骨に必要以上のダメージを与えない

ために手術で使用するのが「スプリットコントロール」という道具。

 

見た目はただのネジなのですが、とても優れものです。

 

次回はこの優れもの・・・「スプリットコントロール」についてお話させて頂きます。

 

吉本歯科医院のインプラント症例についてご紹介させて頂きました。

 

次回をどうぞお楽しみに・・・・。 

Follow me!