今日は週末、パーっと飲みに・・・行かずに、高松市の歯科医師会主催の講演に行ってきました。
題名は「糖尿病管理の一環としての歯周病管理」
ちょうど最近、某TVにて特集され、当医院でも患者様からご質問頂くことが増えていたトピックスでした。
このトピックスについては、最近歯科の分野でホットになってきていますが、実は僕はもう何年も前からこの事は知っていました。
なぜなら、今日の講演に来られた西村英紀教授は、この分野のスペシャリストで、僕が広島大学に在籍していたころに、岡山大学から教授として赴任された先生でした。ので、今日の内容は、もちろん新しいこともいっぱいありましたが、基本は何度も講義して頂いた事だったからです。
さらに、また「縁」というものを感じさせられましたが、当医院院長も岡山大学大学院時代に西村教授と懇意にしていただいてたらしく、このトピックスについては何度もお話を伺って感銘をうけ、当医院の歯周病の診療方針の根幹の一つとして何年も前から据えていたとのことでした。
以前に作ったものなので、今日聞いた最新情報とは少し違うところもあるかもしれませんが、当医院の「歯周病と糖尿病」のリンクを貼っておきますので、こちらもどうぞ
この「縁」のおかげで、講演後院長と西村教授と3人でお話しする機会にも恵まれました。
さて、「糖尿病」という名前はきっと何度も耳にしたことがあると思いますが、さて、どんな病気か?と聞かれたら皆さんはなんて答えますか?
「おしっこに糖が混ざる」
「なんか生活習慣病ってものの一つらしい」
「太ってる人がなりやすいらしい」
僕が大学に入る前の認識はこんなもんでした。・・・うーん。
まあ一応全部正解ですが、そんな単純なものではもちろんありません。
糖尿病とは、血液中の血糖値が異常に高くなる病気です。原因によって1型と2型に分けられますが、よく問題に上がる、生活習慣病の方は2型です。
この2型は、膵臓が作る、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが、肥満などのいろいろな原因から、「出ているのにその効果が効きにくい状態」に体がなってしまい、血糖値が下がりにくくなる病気です。
これだけ聞くと、血やおしっこが甘くなるのがなんか悪いの?と思われそうですが、悪いのはその先です。
長く高血糖状態が続くと、小さな血管をもろくして、ひどい場合では手足が腐ったり、失明したり、腎不全になったりと怖い症状を引き起こします。
治療法はいくつかありますが、その中で我々歯医者さんがお手伝いできること、それが「歯周病の治療」なのです。
一見全く関係がなさそうに見えるこの「糖尿病と歯周病」ですが、重篤な歯周病の糖尿病患者が歯周病を直したら、糖尿病はある程度改善されることがあります。
ただし、ここで一つだけ注意していただきたいことがあります。
先述のとうり、最近はTVなどでも、「歯周病を治せば糖尿病は改善する!!」と謳っていますが、これはずべての糖尿病患者さまに言えるわけではなく、以下の条件を満たす方に限ります。
それは
①2型糖尿病であること(1型の方には当てはまりません)
②炎症がある歯周病の患者様であること(咬合が原因など、炎症が強くない歯周病の方は当てはまりません)
です。
この条件に当てはまる患者様は、糖尿病が改善します。
具体的にいうと、糖尿病の重症度の判定に使われる、HbA1cという値がありますが、これは6.5%以上(JDS値では6.1%以上)で糖尿病であるひとつの基準として診るのですが、昨日の講演でいただいたデータによると、患者様によっては、最大で1%程度(個人差、歯周病の重篤度によります)も下がるそうで、1%下がったら先ほど述べた、失明のリスクが37%、手足切断のリスクが43%も下がるそうです。
僕たちの医院でも、問診票に「糖尿病」と書かれているのをよく目にします。
僕たちは内科医ではありませんから、糖尿病のお薬を処方したりはできませんが、歯周病の治療をさせていただくことで、一人でも失明や手足切断などから救えるなら、もしかしたらこれまでにも救えていたとしたら、僕はやっぱり歯医者って仕事は素敵だな、なってよかったなと思います。
今日の講演の内容について詳しく聞きたいという患者様がおられましたら、僕の記憶が新鮮なうちに聞いてくださいね(笑)