12月10日に友人の結婚式があり、お休みをもらって京都まで行ってきました。

大学の時の友人で、テニスサークルでダブルスを組んでいた奴の結婚式でしたが、内容もとてもよく、口腔外科医らしい演出とかもあって、とても素晴らしい式でした。

・・・が、今回はその話ではなく、その道中読んでいた本についてのお話(笑)。

 

京都まで電車でいくと結構お金がかかるので、何かと入り用になる年末ですし、ちょっと節約して、フェリーで行くことにしました。

朝6時からフェリーで神戸まで4時間半かけて行き、それから1時間かけてJRで京都までの片道5.5時間コースでした。

 

僕は普段から結構本を読むのが好きな方で、大体一人旅で、時間がかかりそうなときは時間に応じて何冊かの本を買っていくことにしています。

 

薄目の単行本なら大体3~4時間で読めるので、今回は往復11時間(途中、爆睡数時間予定)で2冊くらいかな~と思い、旅行直前に本屋さんで買っていきました。

 

1冊は「陰陽師」シリーズで有名な、夢枕獏の最新刊、もう一冊を何にしようかな~と迷っていると、「神様のカルテ」という本が目に入りました


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この本、今年の夏ごろ?に映画化されたり、続編が出たりで、実は半年前位にも一度書店で見てはいたのですが、その時も迷って買わなかった本でした。

 

僕はこのような職業に就く前から、結構医療系の小説が好きでした。

一番初めに読んだのは、小学生くらいの時、当時ベストセラーになっていた、「病院で死ぬということ」という本だったと記憶しています。

 

ノンフィクションで、終末医療の現場での、死の間際の人たちの最後の生の過ごし方と、それに逃げずに向き合うDrの姿を読んで、医療というものにとてもやりがいがありそうだと、子供ながらに感動したのを今でも覚えています。

今思うと、僕が医者になろうと思ったきっかけの一つだったのかもしれません。

 

その後も「白い巨塔」や、「孤高のメス」など、いくつかの医療系小説を読みましたが、医局内の政治なども絡みながらも、どれも重厚で、命や医療に関して深く考えさせられたものでした。

 

それらに比べ、この本は背表紙の解説などを読んでも、何かちょっと物足りなそうかな??と感じ、半年前は買わなかったのですが、ほかに目ぼしそうなものもなく、手に取ってみることにしました。

 

あんまり深い内容は、これから読まれる方に気の毒ですので、割愛しますが、初めの方はは、ちょっと軽い感じで、やっぱり外したかな?と残念に思っていました。

確かに、これまで読んだ医療系小説に比べ、専門的なことはとても少なく、それよりドラマとかで喜ばれそうな人物設定や人間関係に重きを置いた感じではありましたが、最後に、ある患者さんの手紙を読んだとき、不覚にもちょっと感動してフェリーの中で一人読みながら泣いてしまいました。(乗客が少なくて、良かった良かった。男一人本読みながら泣いてるなんて、はたから見たら相当気持ち悪かったのではないでしょうか・・・。)

 

 内容についてはここで書けないのが残念ですが、一人の医師として、確かにこのDrと違って、我々歯医者は直接すぐに命と向き合うような現場ではないけれど、自分はこんな風に患者さんから思われるような診療を僕は果たしてできているのだろうか?と思うと、とても恥ずかしくなりました。

 

もちろんこれはフィクションですし、作者の都合よくは書けます。それは置いといて、忙しい中にも、ちょっとした気遣いやなんかで、「治す」ではなく「癒す」ことができるのも、医者という職業のいいところであり、大切なところなんだなと再確認しました。

 

吉本歯科医院で働き始めて8か月が過ぎ、いろいろ慣れ始めるとともに、こういった大切なところを忘れがちになっていた気がして、反省とともに、いいタイミングでいい本と巡り合えたなと思いました。

 

もし、半年前に読んでいたら、今のように感じてはいなかったかも。時々こんな風に、「心の栄養剤」となってくれるような本と巡り合うことがあり、そのたび読書ってのも悪くないなと思います。

 

前述した医療系小説たちに比べ、最後まで専門性や、重厚感はちょっとなかった気はしましたが、それだけ一般の方にとっては手を付けやすい本かもしれません。もし興味の出た方は是非読んでみてください。

また、読んだり、映画版を見たよ、という方がいたら、是非僕に一声かけてくださいね。

 

 

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